子宮頸がん予防


子宮頸がんを予防するためには、定期的な子宮がん検診の受診が効果的です。

また、あなたのからだを子宮頸がんの発症から長期にわたって守ってくれる、子宮頸がん予防ワクチンが、一般の医療機関で接種できるようになったことをご存知ですか?

 


 子宮頸がん予防ワクチンは、発ガン性HPVの感染から長期にわたってからだを守ることが可能です。

 海外ではすでに100カ国以上で使用されています。

ワクチンとは、病気の原因となる細菌やウイルスなどをあらかじめ接種しておき、病気を防ぐ方法です。


子宮頸がん(しきゅうけいがん)予防ワクチンは、

発がん性HPVの中でも特に子宮頸がんの原因として最も多く報告されているHPV16型と18型の感染を防ぐ2価ワクチン(サーバリックス)で、海外ではすでに100カ国以上で使用されています。日本では2009年10月に承認され、2009年12月22日より一般の医療機関で接種することができるようになりました。
感染を防ぐために3回のワクチン接種で、発がん性HPVの感染から長期にわたってからだを守ることが可能です。しかし、このワクチンは、すでに今感染しているHPVを排除したり、子宮頸部の前がん病変やがん細胞を治す効果はなく、あくまで接種後のHPV感染を防ぐものです。

 

その後ワクチン開発が進み、2011年8月26日より4価ワクチン(ガーダシル)が発売されました。サーバリックスとガーダシルは小学校6年~高校1年相当の女子に向けて定期接種の対象ワクチンです。

また、ガーダシルは2020年12月より9歳以上の男性への接種も可能となりました(任意接種)。

 

2021年2月24日以前から話題となっていた9価ワクチン(シルガード9)が国内でも接種可能となりました。ただし、このワクチンは全例登録制度となります。任意接種となりますが、当院で対応可能です。

 

外部リンク 厚生労働省ヒトパピローマウイルス感染症~子宮頸がんとHPVワクチン

 


子宮頸がんとは?

子宮は、女性にしかない特別な臓器のひとつです。この子宮の入り口付近、「子宮頸部(しきゅうけいぶ)」にできるがんを、「子宮頸がん(しきゅうけいがん)」といいます。

 

子宮頸がんになった場合、子宮や子宮のまわりの臓器を摘出しなければならなくなることがあります。たとえ妊娠や出産を望まない女性であっても、後遺症が残り仕事や生活に影響するなど失うものは多大なものです。また、がんがもっと進行してしまった場合は、生命そのものに対して重大な影響を及ぼすおそれがあります。


しかし、子宮頸がんは原因やがんになる過程がほぼ解明されている、予防ができるがんです。また、定期的に検診を受けることで、がんになる前に発見し、子宮を失わずに治療することが可能です。

 

なお、子宮にできるがんには、他にも、赤ちゃんが育つ「子宮体部(しきゅうたいぶ)」にできるがんがあり、「子宮体がん(しきゅうたいがん)」別名「子宮内膜癌(しきゅうないまくがん)」と呼びます。一般に「子宮がん」というと「子宮体がん」をイメージする方が多いのですが、この2種類のがんは、原因や発症しやすい年齢・特徴・治療法などが違うため、それぞれについて正しい知識が必要となります。

 

“扁平上皮(へんぺいじょうひ)がん” と “腺(せん)がん”

がんの名前は“がん”ができた臓器の名前で呼ばれることが多く、“子宮頸がん”も、子宮頸部にできるがんなので、このように呼ばれています。しかし、同じ臓器にできるがんでも、がんになる細胞の種類が異なると、病気の進行や治療方法に影響が出ることがあります。

 


子宮頸がんの原因

 

子宮頸がんの原因は、ほぼ100%が、ヒトバビローマウイルス(HPV)というウイルスの感染から発病します。
皮膚と皮膚(粘膜)の接触によって感染するごくありふれたウイルスで、すべての女性の約80%が一生に一度は感染しています。

子宮頸がん(しきゅうけいがん)はその他のがんと異なり、原因が解明されています。子宮頸がんの原因は、ほぼ100%が、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染であることが明らかになっています。子宮頸がんの原因である発がん性HPVは、皮膚と皮膚(粘膜)の接触によって感染するウイルスで、多くの場合、性交渉によって感染すると考えられています。
 
発がん性HPVは、すべての女性の約80%が一生に一度は感染していると報告があるほどとてもありふれたウイルス。このため、性行動のあるすべての女性が子宮頸がんになる可能性を持っています。

 

HPVは100種類以上のタイプが存在。
このうち約15種類が発ガン性HPVと呼ばれています。

HPVは皮膚や粘膜に感染するウイルスで、100種類以上のタイプがあります。このうちの約15種類は子宮頸がんの原因となることが多いため、発がん性HPVと呼ばれています。中でも、HPV 16型とHPV 18型と呼ばれる2種類は、子宮頸がんを発症している20~30代の女性の約70~80%から見つかっています。


発がん性HPVは、多くは性交渉の時に感染しますが、性器のまわりの皮膚や粘膜との密接な接触などによっても感染することがあるので、コンドームは感染を防ぐ有効な手段ではありますが、完全に防ぐことはできません。

 

ヒトパピローマウイルス(HPV)にはハイリスク型とローリスク型があり、子宮頸がん(しきゅうけいがん)を引き起こすのは発がん性HPVといわれるハイリスク型のみです。また、ハイリスク型HPVに感染しても90%以上は体内から自然消失するため、子宮頸がんに進展するのはごくわずかです。全世界で毎年3億人の女性が発がん性のハイリスク型HPVに感染すると仮定した場合、そのうちの約0.15%が子宮頸がんを発症すると推定されています。


ただし、子宮頸がんになるまでには、通常、数年~十数年と長い時間がかかるので、定期的な子宮頸がん検診を受けていれば、がんになる前の状態(前がん病変)を発見し、治療することが可能です。

 


予防ワクチン

子宮頸がん予防ワクチンは、
発ガン性HPVの感染から長期にわたって
からだを守ることが可能です。
海外ではすでに100ヵ国以上で使用されています。

ワクチンとは、病気の原因となる細菌やウイルスなどをあらかじめ接種しておき、病気を防ぐ方法です。

子宮頸がん(しきゅうけいがん)予防ワクチンは、発がん性HPVの中でも特に子宮頸がんの原因として最も多く報告されているHPV16型と18型の感染を防ぐワクチンで、海外ではすでに100カ国以上で使用されています。

 日本では2009年10月に承認され、2009年12月22日より一般の医療機関で接種することができるようになりました。感染を防ぐために3回のワクチン接種で、発がん性HPVの感染から長期にわたってからだを守ることが可能です。

 しかし、このワクチンは、すでに今感染しているHPVを排除したり、子宮頸部の前がん病変やがん細胞を治す効果はなく、あくまで接種後のHPV感染を防ぐものです。

 子宮頸がん予防ワクチンは、子宮頸がんの原因となりやすいHPV 16型とHPV 18型のウイルスに対する抗体をつくらせるワクチンです。なお、このワクチンに含まれるウイルスには中身(遺伝子)がないので、接種しても感染することはありません。

 

ウイルスとワクチン

ウイルスなどが体に入ってくるとそれを攻撃する物質(抗体)ができますが、抗体を作るまでには少し時間がかかります。また、抗体をつくらせないように上手く隠れることができるウイルスもいます。
ワクチンを接種することで、ウイルスなどが体に侵入してきた時にいち早く反撃するために、あらかじめウイルスなどに対する抗体をつくらせておくことができます。

 

すべての女性のための子宮頸がん情報サイト(グラクソ・スミスクライン)

 


公費負担予防接種

子宮頸がんワクチン(サーバリックス・ガーダシル)を全額公費負担で受けましょう!

厚生労働省厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会の意見書(予防接種法の定期接種に急ぎ位置づけすべきである)とされた子宮頸がんワクチン、ヒブワクチン及び小児肺炎球菌ワクチンの接種について、国の緊急補助事業として実施し、接種を希望する保護者の経済的負担を軽減することを目的とした緊急事業です。当院では子宮頸がんワクチンの指定医療機関として以下の条件で全額公費負担の接種が可能となります。対象外の場合には自費となります。
 
対象者  中学校1年生から高校1年生相当の女子で希望する者
接種回数 3回(初回、1ヶ月後、初回より6ヶ月後)

接種方法 筋肉注射です

注意事項

① あくまでも希望者に対する接種です
② 希望者が直接指定医療機関に電話で予約いただきます 当院の電話番号は0172-38-8080です
③ 原則として保護者同伴となります
③ 保険証もしくは保険資格証をご提示いただきます(弘前市の住民であることの確認のため)
④ 母子手帳をお持ちください(母子手帳紛失された場合には市で再発行可能です)
⑤ 副反応や健康被害に関しては市が保険に加入しています

 


4価HPVワクチン 「ガーダシル」 MSD社サイトより転載

2020年12月より男性への接種が可能になりました(任意接種)。

ガーダシル®の特性

1.HPV6/11/16/18型を含み、女性にも男性にも接種できるHPVワクチン

主に子宮頸がんの原因となるHPV16、18型とともに、尖圭コンジローマの原因となるHPV6、11型を含みます。また、2020年12月に適応が追加され、男性への接種が可能となりました。
用法及び用量を参照

 

2.子宮頸がんの前がん病変に対する予防効果
  [海外第Ⅲ相臨床試験(検証的な解析結果)]

HPV16、18型に起因する高度子宮頸部病変(CIN2/3またはAIS)を96.9%予防しました(015試験)。
(海外データ)
HPV疾患予防効果を参照

 

3.10年以上にわたる長期予防効果(女性対象)

北欧地域で実施された第Ⅲ相試験であるFUTUREⅡのフォローアップ試験の中間報告(12年:14年後まで継続予定)において、主要評価項目であるHPV16および18型に関連したCIN2/3、AIS または子宮頸がんの発生はありませんでした。
(海外データ)
海外長期フォローアップ試験を参照

 

4.安全性

海外第Ⅲ相試験(16〜26歳女性対象:015試験)
詳細な安全性解析対象集団における、ガーダシル®接種後5日間に注射部位にて特定された症状の副反応は、457例中378例(84.4%)に認められ、主なものは疼痛372例(83.0%)、紅斑137例(30.6%)、腫脹95例(21.2%)および出血20例(4.5%)でした 。また、ガーダシル®接種後15日間に、全身性の副反応は457例中147例(32.8%)に認められ、主なものは頭痛79例(17.6%)および悪心20例(4.5%)でした(ガーダシル®承認時) 。
ガーダシル®添付文書の副反応および臨床成績の安全性の結果を参照

海外第Ⅲ相試験(16〜26歳男性対象:020試験)
ガーダシル®接種後5日間に注射部位にて特定された症状の副反応は、1,945例中1,166例(59.9%)に認められ、主なものは疼痛1,113例(57.2%)、紅斑304例(15.6%)および腫脹219例(11.3%)でした。また、ガーダシル®接種後15日間に、全身性の副反応は1,945例中274例(14.1%)に認められ、主なものは発熱93例(4.8%)および頭痛107例(5.5%)でした(ガーダシル®男性適応追加承認時)。
ガーダシル®添付文書の副反応および臨床成績の安全性の結果を参照

重大な副反応として、過敏症反応(アナフィラキシー(頻度不明)、気管支痙攣(頻度不明)、蕁麻疹(0.4%)等)、ギラン・バレー症候群(頻度不明) 、血小板減少性紫斑病(頻度不明) 、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)(頻度不明)があらわれることがあります。
また、その他の副反応として、注射部位疼痛(67.8%)、注射部位紅斑、注射部位腫脹(それぞれ10%以上)、頭痛、注射部位そう痒感、発熱(それぞれ1〜10%未満)、浮動性めまい、感覚鈍麻、傾眠、回転性めまい、下痢、腹痛、悪心、四肢痛、筋骨格硬直、四肢不快感、注射部位硬結、注射部位出血、注射部位不快感、注射部位内出血、注射部位変色、注射部位知覚低下、注射部位熱感、倦怠感、白血球数増加(それぞれ0.1〜1%未満)、蜂巣炎、リンパ節症、失神(強直間代運動を伴うことがある)、嘔吐、関節痛、筋肉痛、注射部位血腫、無力症、悪寒、疲労(それぞれ頻度不明)が報告されています。
ガーダシル®添付⽂書の副反応および臨床成績の安全性の結果を参照

 

5.定期接種(A類疾病)ワクチン

2013年4月より、HPVワクチンは定期接種のワクチンです。対象は、小学校6年生から高校1年生相当の女子となっています。
(※男性への接種は任意接種となります。)

関連リンク

ワクチンの種類が追加になります(弘前市)

 

厚生労働省:ワクチン接種緊急促進事業について
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/


新しく承認された9価HPVワクチン「シルガード9」MDS社サイトより転載

2021年2月24日に発売された9価HPVワクチンです。

全例登録が必要です。ネット接続可能な携帯電話の持参が必要です。

シルガード®️9の特性

1.HPV 6/11/16/18/31/33/45/52/58型を含む、9価HPVワクチン

ガーダシル®(4価HPVワクチン)に含まれるHPV6/11/16/18型に加え、HPV31/33/45/52/58型のVLP(ウイルス様粒子)を含みます。

2.子宮頸がんの原因となるHPV型の88.2%をカバー

アジア人に特に感染が多くみられるHPV52/58型のVLPを含み、子宮頸がんの原因となるHPV型の88.2%をカバーします。
ヒトパピローマウイルスを参照

3.子宮頸がんの前がん病変に対する優れた予防効果
 [後期第Ⅱ相/第Ⅲ相国際共同試験(検証的)]

ガーダシル®による予防効果に加え、新たに追加された5つのHPV型に関連したグレード2以上の子宮頸部上皮内腫瘍(CIN2/3)、上皮内腺がん(AIS)、外陰上皮内腫瘍(VIN2/3)および腟上皮内腫瘍(VaIN2/3)の発生率に対するシルガード®9の予防効果は96.7%でした。
(海外データ)
HPV疾患予防効果を参照

4.安全性

〈副反応〉
国際共同試験(001試験、16~26歳女性、ガーダシル®対照)

注射部位の副反応は、本剤接種後5日間に7,071例中6,414例(90.7%)に認められ、主なものは疼痛6,356例(89.9%)、腫脹2,830例(40.0%)、紅斑2,407例(34.0%)、そう痒感388例(5.5%)、内出血137例(1.9%)、腫瘤90例(1.3%)、出血69例(1.0%)でした。全身性の副反応は、本剤接種後15日間に7,071例中2,090例(29.6%)に認められ、主なものは頭痛1,033例(14.6%)、発熱357例(5.0%)、悪心312例(4.4%)、浮動性めまい211例(3.0%)、疲労166例(2.3%)、下痢87例(1.2%)、口腔咽頭痛73例(1.0%)、筋肉痛69例(1.0%)でした(承認時)。
日本人においては、注射部位の副反応は、本剤接種後5日間に127例中104例(81.9%)に認められ、主なものは疼痛104例(81.9%)、腫脹57例(44.9%)、紅斑51例(40.2%)、そう痒感12例(9.4%)、出血5例(3.9%)、腫瘤4例(3.1%)、熱感2例(1.6%)、知覚消失2例(1.6%)でした。全身性の副反応は、本剤接種後15日間に127例中15例(11.8%)に認められ、主なものは頭痛5例(3.9%)、発熱4例(3.1%)、悪心3例(2.4%)でした(承認時)。

国内試験(008試験、9~15歳女性)
注射部位の副反応は、本剤接種後5日間に100例中95例(95.0%)に認められ、主なものは疼痛93例(93.0%)、腫脹42例(42.0%)、紅斑33例(33.0%)、そう痒感4例(4.0%)、出血3例(3.0%)、熱感3例(3.0%)でした。また、全身性の副反応は、本剤接種後15日間に100例中14例(14.0%)に認められ、主なものは発熱3例(3.0%)、頭痛2例(2.0%)、悪心2例(2.0%)、感覚鈍麻2例(2.0%)、腹痛2例(2.0%)でした(承認時)。

重大な副反応として、過敏症反応(アナフィラキシー、気管支痙攣、蕁麻疹等)、ギラン・バレー症候群、血小板減少性紫斑病、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)が報告されています。

※本剤またはガーダシル®の自発報告で認められた副反応